家づくりコラム

【令和2年版】埼玉県は3つの地域に分かれている?「省エネルギー基準地域区分」とは

こんにちは!埼玉県鴻巣市の一級建築士事務所「佐藤ホーム」のブログ編集部です。
 
埼玉県秩父市・長瀞のライン下りボート
家を建てるうえでよく耳にするキーワードの中に「省エネルギー基準」というものがあります。

 

国土交通省は、2020年までに新築住宅および建築物の省エネ基準への適合義務化を進める予定でしたが、業界全体の認知度や習熟度が均一化されておらず、建築主にも高い投資を強いることになる状況を鑑み、2018年末時点で見送ることを決定しました。

とはいえ、これまでの流れを受け、高い水準を満たす省エネ住宅づくりに励んできた工務店や設計事務所も多数存在します。中には基準を遥かに上回る高機能な住宅を実現してきた、志の高い事業者もいます。

そこで今回は、「省エネルギー基準」というキーワードの意味と、埼玉県内でも3つに分かれる「省エネルギー基準地域区分」について、ご紹介します。

省エネルギー基準とは?

 

住宅業界で「省エネルギー基準」という言葉を使うとき、現時点では「平成28年に定められた、平成28年省エネルギー基準」を意味します。

省エネルギー基準は省エネ法に対応して昭和55年に制定され、これまで平成4年、平成11年、平成25年と段階的に改定されてきました。

最新の平成28年基準のものは、地域区分がさらに細分化され、その区分ごとに外皮性能基準、一次エネルギー消費量基準が設けられています。

外皮性能基準は、外皮平均熱貫流率UA値や、日射遮蔽性能を示す冷房期の平均日射熱取得ηAC値などから判断します。

一次エネルギー消費量基準は、暖冷房、換気、照明、給湯による設備のエネルギー消費量と、 家電などのエネルギー消費量、太陽光発電などのエネルギー利用効率化設備による一次エネルギー消費量(コージェネレーション設備による発電量も含む)でZEHなどに含まれていない家電などのエネルギー消費量から判断します。

設計仕様で算出した一次エネルギー消費量が、基準仕様で算出した一次エネルギー消費量以下となることが求められます。

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省エネルギー基準地域区分とは

平成28年の省エネルギー基準では、日照時間などの天候情報を参照し、日本全国を1〜8の8地域に分け、 地域ごとに評価基準を設定しています。

地域区分は大まかに分けると、

  • 1地域:北海道北東
  • 2地域:道央、道南
  • 3地域:北東北、関東・中部の山岳部
  • 4地域:南東北、長野などの中部内陸部(埼玉では秩父市の旧大滝村に該当するエリア)
  • 5地域:北関東、北陸など(秩父、飯能、日高、越生、小川など)
  • 6地域:東京・大阪・福岡などの本州の沿岸地域(さいたま市ほか)
  • 7地域:南九州、奄美諸島
  • 8地域:沖縄

といった内容となり、日本の人口の多くは5、6地域に分布。地域区分ごとに、規定の壁・天井の厚さ、断熱機能が求められています。

詳しい規定数値を知りたい方は、IBEC 建築省エネルギー機構(一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構)の「住宅の省エネルギー基準」というページをご確認ください。

令和元年11月に改定された「省エネルギー基準地域区分」

さて、ここまで「平成28年基準の地域区分」と書いてきましたが、実は昨年末(令和元年11月16日)、ここ数年の天候情報を反映した令和版の新区分が、国立研究開発法人建築研究所(協力:国土交通省国土技術政策総合研究所)から発表されました。

平成28年省エネルギー基準に準拠したエネルギー消費性能の評価に関する技術情報
(非住宅建築物)の「地域の区分および年間の日射地域区分 (新区分)」(zipファイル)より

上記リンク先の資料によると、埼玉県内の地域は以下の3つの地域に分けられます。

埼玉県内の省エネルギー基準新区分 (R01.11.16施行)

4地域

秩父市(旧大滝村)

5地域

秩父市(旧秩父市、旧吉田町、旧荒川村)、飯能市、日高市、毛呂山町、越生町、滑川町、嵐山町、小川町、川島町、吉見町、鳩山町、ときがわ町(旧都幾川村)、ときがわ町(旧玉川村)、横瀬町、皆野町、長瀞町、小鹿野町、東秩父村、美里町、神川町、寄居町

6地域

さいたま市、川越市、熊谷市(旧熊谷市)、熊谷市(旧大里村、旧江南町、旧妻沼町)、川口市、行田市(旧行田市)、行田市(旧南河原村)、所沢市、加須市、本庄市(旧本庄市)、本庄市(旧児玉町)、東松山市、春日部市、狭山市、羽生市、鴻巣市、深谷市、上尾市、草加市、越谷市、蕨市、戸田市、入間市、朝霞市、志木市、和光市、新座市、桶川市、久喜市、北本市、八潮市、富士見市、三郷市、蓮田市、坂戸市、幸手市、鶴ヶ島市、吉川市、ふじみ野市、白岡市、伊奈町、三芳町、上里町、宮代町、杉戸町、松伏町

 
平成28年基準の地域区分と比べると、冷涼な避暑地が多数含まれる4地域に入っていた、小鹿野町の旧両神村エリアが5地域に移動し、5地域だった、さいたま市、川越市、旧熊谷市以外の熊谷市エリア、所沢市など、比較的緑地が多い市もごっそり6地域に移動し、奥武蔵の丘陵地帯に位置する町や村などが5地域に残る形となりました。
 
この新区分を見ると、ここ数年でさらに温暖化が進んだことがわかります。

これからの「省エネルギー基準」はどうなるべきなのか

温暖化問題の改善には、地球規模によるエネルギーの見直しが必要です。日本で制定されたこの省エネルギー基準も、環境破壊問題やエネルギー枯渇問題への意識が高い諸外国からは著しく低いものと見なされています。

ヨーロッパの住宅・建築物においては、暖房負荷が15kwh/m2(平方メートル)以下の超高断熱機能を持つ「パッシブハウス」が標準になってきており、環境先進国とも言えるドイツではパッシブハウスの義務化も検討されているそうです。

国内では2009年8月に神奈川県鎌倉市に日本初のパッシブハウスが完成しました。これ以降、多数の省エネルギー基準を大幅に上回る高気密・高断熱な住宅が各地に生まれています。

省エネで気密性や機能性が高い住宅は、寿命が長く、子や孫の世代にも残せる住宅でもあります。
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